相続税の税務調査の受け方_税務署が注目すること

相続税の税務調査を行う際に、税務署がまず注目することとは何でしょう?
ここでは、税務調査の際に税務署がどのような点に目を付けて調べるのか?
また、税務署が普段から注意を払っていることとは何か?ということをお話いたします。

税務署が注目すること

Biography
税務署は、何と言っても「資産」や「お金の動き」に注目します。
そのために、まずは略歴をたどります。
被相続人(亡くなった人)の略歴を調べることで、どのくらいの給料をもらっていたのか、また、高額な退職金をもらっているかどうか、ということが分かります。

例えば、ある大手の電力会社の取締役をやっていた場合、役人が天下りをするように、定年退職後に子会社の代表取締役になることがよくあります。
大会社の取締役が、長年働いていた自分の会社を辞める際に十分な退職金をもらい、次に移った子会社で4~5年働き再び退職するといった場合、そこでもそれなりの高額な退職金をもらって辞めるといったケースがあります。

そのような場合、税務署はそこでもらった退職金がどこに移動しているのか(使われているのか)というような「お金の動き」を調べます。
どこの資産形成になっているのか?不動産なのか?等々。

税務署は、相続人に対し被相続人の役員の略歴などを大雑把にしか聞きませんが、やはり前述の天下り等の事情を踏まえ、勤務先の役職などの状態をきちんと確認します。

過去に不動産を売却したかどうか、これも税務署はよく調べます。
税務署の記録は、かつての紙ベースだった昭和初期の頃の記録以外は、現在全てコンピュータの中に入っているので、過去に確定申告した記録や、不動産の売却または購入した情報などが全てすぐに分かるようになっています。
税務署は特に、売却したときには売却したお金がどこに化けたのか?ということを調べます。以下に具体的例を挙げます。

・金融債権として運用している?(例えば5千万だったら5千万万の金融債権が残っている場合)
・子供に住宅資金の贈与をした?
・子供にマンションを買ってあげた?
・自分の住まいを買いなおした?
・不動産化したのか?

このように、税務署としては「どこの資産形成に回っているのか?」ということを知りたいのです。
そのために、過去の略歴や、その人の行動記録を調べるのです。

海外に赴任して海外の支店で働いていた人の例をお話します。

海外赴任の場合、海外に不動産を持っている可能性があり、そうすると個人口座も海外にあります。
その後転勤になった際に全て解約して引き上げていれば問題はないのですが、特に10年~20年海外に赴任した方は概ね現地に財産が残っています。

そのような場合は、間違いなく個人口座と、場合によってはコンドミニアムや不動産を購入しているケースがあります。
こういった証拠を確認し、財産の行方を調査します。
また、海外で不動産の賃貸をしていれば当然海外で税務申告をしているはずです。
その控えで海外資産の確認が出来ます。
海外への送金・入金は1回100万円以上は税務署に記録が残ります。