相続税の税務調査の受け方_海外の財産

ここでは、「日本の国籍を持ってる人で、海外に財産があった場合、相続税は日本の税金としてかかってくるのでしょうか?」といった疑問についてご説明いたします。

海外の財産に対する相続税

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日本に国籍のある人が、海外に財産が沢山ある場合、相続税はどうなるのでしょうか?
それは、居住者の判定になりますが、国籍がどうかではなく、どの国にどの程度の年数住んでいたかということが大切になります。

国籍も影響はあるのですが、例えば日本も意図的に息子さんを海外で半年以上働かせて(それを我々は非居住者といいますが)、非居住者にしますと、海外の財産を非居住者がもらった場合には、日本の国内に贈与税の申告義務がないのです。
何故なら、外国人が外国の財産を相続したからといって、日本とは関係のない話だからです。


日本人も外国人並みに扱われるケースというのは、以前は180日ルールというのがあり、ある国に半年以上長い間住んでいれば、そちらの国の居住者という話になります。
日本にたまに何か月か戻ってきても、外国人と同じような扱いになります。

昔、とある上場企業の社長が自分の持ち株を息子に贈与する際に、香港に住まわせ、向こうの仕事をずっとさせていました。
当然日本にはたまに帰ってくるのですが、外国で持っている株式を海外で贈与したという事実が訴訟されました。
これは、過去の判例では一番大きなものでした。

最初は国が勝ち、地裁、高裁と続き、最終的には最高裁まで行きましたが、結局国が負けました。
これは、国がペナルティを払った一番大きな訴訟になります。

その訴訟の後、国がルールをつくり、「10年以上海外に行っていないとダメだ、1年じゃ許しません」といった日本の相続税法の改正がありました。
なかなか1年2年は出られても、10年出ているとなると、本当に海外の会社に勤めていないとできませんので、そのようなルールに変えてしまったのです。

国税庁は、意図的に海外の会社に赴任させて、元のOBなどが色々と関わりアドバイスをするわけです。

しかし法律上、国内にきちんと居住場所があるという実態を持って実際に海外で働いている事実もあると、やはり最高裁としてはその時の法律に基づいて適正に判断しなければならないので、国の見解が最高裁でどんでん返し、どんでん返しの続きで最終的に国が負けました。
その時の徴税に対しての加算税だけで、億単位だったと思います。

国としては大変な賠償金でした。
取ったお金を返す際に、加算金として1億円以上のお金を払ったのですから、これは国税庁の一番大きな失態という話になります。

そのような大きな問題があって裁判で負けると、国としては次にそういうことがないようにと、また取り扱いの通達を変えたり、法律自体を変えたりということはあると思います。
従って、このような隙間を狙った脱税というか租税回避行為は、なかなかし辛くはなってきました。

最近国税庁も、社団法人を使り節税対策をしたり、不動産投資をやったり等、非常に行動が早くなりました。