税務調査の受け方

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税務調査官は、調査当日の10時頃に通常は2人で来ます。
そして未亡人宅の場合は女性調査官の同行が多いです。
というのは、特に若い未亡人の場合には、男性の調査官がタンスの中を「開けてください」とは言えないからです。
当然そのタンスの中は女性の下着があったりするでしょうから、男性調査官がそれを無理やり開ければ痴漢騒ぎになってしまいますし、無理やり見せろと要求したら、それこそ警察に言われてもやむを得ない状態になってしまいます。
従って必ず女性調査官がタンスの中を確認します。

私の経験ですが、未亡人宅に男性調査官が2人で来たこともありますが、それでも2人だと、言った言わないの問題や、触った触らないという問題にも対処できます。
警察官がいつも2人同行で動くのと同じような話で、税務調査は初めての所でどんな人がいるか分からないわけですから、基本的には2人で動き、その必要がないというと午前中に1人帰ってしまうというケースもありました。

所で税務調査を受ける場合に、受ける側の対応人数や人選はどのようにして決めたらよいのでしょうか?
当事務所は基本的に担当者と私とで立ち会います。
財産の所在や申告の際に提出いただいた書類の保管場所等を把握している相続人代表の方には必ず立会いをお願いしています。
その他、同居の相続人の方で時間の都合がつく方には立ち会って頂くようにしていますが、大抵、息子さんはまだ働いているケースが多いので、その場合には奥様だけに立ち会って頂いたりします。

ただ、奥様がご高齢な場合は息子さんにも居て頂かないと、なかなか会話が進みませんね(もちろん、立ち会わない相続人の方にも調査が入るという連絡はいたします)。
ですから調査官2名、相続人2名、会計事務所2名の多くて6人集まることがあります。
法人税の税務調査だと大体会社の社長さんと経理の担当者と自分たち税理士と担当者と調査官が1人か2人ですから6人くらいということになります。
相続の場合は調査官が2人で来て、自分たちの方は相続人の方と自分たちが1人か2人で大体5名か4名くらいのことが多いかと思います。

調査官も3名以上で調査に来たことがありますが、その内2人は国際税務専門の調査官でした。
被相続人が過去に海外送金をしていた記録があったので、海外に預金口座を作っているのではないか、海外投資をしているのではないか、ということで、2人も同行してきたのですが、別に海外投資ではないことが分かったら、午前中で2人とも帰ってしまいました(笑)

この時は、娘の1人がカナダに嫁いでいて、嫁いだ先の彼女の口座に海外送金をしていました。
生活費として送金したり、家を建築するためのお金を送金したりしたのでそれが調査の発端になったのです。

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税務調査官に、お茶やお昼を提供する必要があるか、といった質問をされることがあります。
過去に、収賄、贈賄等があり、国家公務員の倫理規定が変わりました。
昔は調査官によってはお昼も提供するときもありましたし、特にOB(国税局や税務署といった税務に関する行政機関に勤務経験がある税理士)の方は、「昼めしは俺がごちそうする」と言いながら実際は会社に昼食代を請求しているケースもありました。

現在は簡単な茶菓くらいは良いことになっていますので、礼儀程度のものは良しということになっています。
従って、例えばケーキなどを出した場合には遠慮されるケースがあると思います。
ただ、当然人間ですから喉が渇きますので、お茶やコーヒーなどは、調査官が来てすぐ、午後一番、3時くらいと、1日3回程度はお茶出しをしてもよいかと思います。

お茶かコーヒーでしたら召し上がりますし、それ以外のものについては提供を受けてはいけないことになっています。
お昼の提供もよっぽどのことがない限り受けてはいけないと指示されていますから、お昼の時間は必ず外に食べに行きます。
近所に飲食店がない等どうしようもない場合は、出前を取って実費を払うということはあるかもしれません。

我々税理士にとって、お昼時間は、午前中の調査の状況によって相続人と打ち合わせする絶好のタイミングです。
自分は「午前中の様子からいうと、あそこ見られそうだよ」とか、「この書類はお昼の間に完備しておいた方がいいよ」とか、1時間あれば多少なりとも書類を用意しておくことができます。

それから、税務職員は、銀行口座から貸金庫使用料が出ているので貸金庫を使っていることは分かっています。
それなのに「貸金庫は使用していますか?」と聞いてきます。
「午後一番でその貸金庫を見に行きますから、そのつもりでいてくださいね」と相続人に教えておくと安心します。
調査官が午後戻ってくるや否や、「貸金庫をお使いですよね、これから一緒に同行していただけますでしょうか」と、正にそういう風に言ってくるのです。

事前に貸金庫に行って中を見てもらっていますので、相続人も慌てず対処できます。
間違いなく想定通りに事が運んできます。