銀行提案の自社株相続節税対策を否認

自社株の相続対策に悩む中小企業の経営者が、取引銀行から提案された別会社へ株を売却するなどの節税策を実行したところ、税務署に認められず課税され、国を相手取った訴訟に発展するケースが増えている。

銀行提案の自社株相続節税対策を否認
オーナー社長が持ち株会社を設立したりして、銀行から融資を受け、自分のもつ株価の高い自社株を持ち株会社に買い取らせるというもの。
持ち株会社の評価額を下げておけば、現在の財産基本通達では、自社株は買い取り前より大幅にさがる。

下落した株価を、「相続税の節税以外の目的がない」と国税当局が認めず更正処分を行うケースが昨年から徐々に増えている。
課税取り消しを求めて、国を提訴する事例も出始めている。

国税庁の通達の通りとはいえ、このような株の評価減は相続税を減らす以外に目的がない。
このため「国税局が租税回避行為と認定した可能性がある」としている。

銀行が融資をしたいが為の銀行提案の節税対策が失敗した場合、銀行は「具体的な税額計算は税理士にご確認を」と責任を問われず、一方で「経営者にリスクを十分に説明しなかった」として、税理士が責任を問われる可能性があるので要注意である。