名義預金や名義有価証券

money
税務調査において調査対象となる「名義預金」や「名義有価証券」について、税理士はお客様の申告の際に、その有無をきちんと調べます。ここでは、どのようにしてその存在を調べるのかということをご説明します。

税理士である私どもがお客様から相続税の申告のご依頼を受けたとき、まず亡くなる前約5年間の通帳等をお預かりしてコピーをとり、資金移動を確認します。
次に、預金の取引の中で大きい資金移動があった場合、例えば「○年○月○日に1千万円引き出しているけれど亡くなった方(被相続人)の別の通帳に入金している」という場合は何の問題もありません。

一方、引き出したお金がどこに行ったのか分からない場合は、資金の行き先を相続人にお尋ねすることになります。
亡くなる前の2~3年前ですと、銀行に相続対策と言われて一時払い生命保険に加入したというケースはあると思います。
それより以前に家族名義の預金にしたというケース、或いはペイオフの関係が始まった頃ですと、家族名義の預金に分散して・・・のようなこともありましたので、そのような資金の流れを調べます。

被相続人の口座が申告に必要だという旨をこちらが言えば通帳を見せてもらえますが、家族名義の預金まで全部出してくださいとは最初から言い辛いです。
税務署のように、質問検査権で家族の通帳を見せてもらい銀行の口座の調査をすることは出来ません。
「亡くなったお父さんの相続税の申告なのに何で私たちの通帳まで全部見せなければいけないのですか!冗談じゃありません!」のようなお叱りを受けてしまう可能性もあります。

従って、被相続人の通帳の移動をある程度下調べをした上で、質問事項をまとめた書類を作成し、それを見ながら「生前に贈与を受けたことがありますか?」とか、「何か特例を使って住宅資金、或いは相続時精算課税制度、その他贈与の特例を使って、生前に何か贈与を受けたことがありますか?」ということをお尋ねします。

それ以外にも「(相続人)ご自身のお金を入金して作ったことのない通帳や証券会社の口座はありますか?」とお尋ねします。
名義預金、名義有価証券とはどういうものかというお話をしながら、亡くなったお父さんのお金を入金して作ったような通帳や証券会社の口座があるかどうかということは必ず1回はお尋ねします。
お尋ねして、「ない」ということであればそれ以上の追及はしません。

実際に税務調査が入った時、税務署も我々と同じことを行い、過去の通帳に大きな動きがあった場合は、どこの通帳からどこに移動したのか、また亡くなったお父さんの定期預金が満期のときに同じ金額が奥様名義の定期預金になってないか、そういった資金の動きを必ず確認します。