税務調査時のセッティング

seat
自宅で税務調査を受ける場合、税務調査官の応接場所と座席位置、調査官と自分、どのような関係がベストかというお話をいたします。
これは法人の税務調査の立会いも同じですが、相続の場合は通常来客が来ると応接室に、ご自宅の場合はお招き入れることが多いかと思います。

その場合に税務調査官の方には回りを見渡すことのできない部屋に押し込めるという言い方は失礼ですが、出来るだけ奥に座席の座って頂き、入り口に近い方は税理士である私と相続人の方といったように、部屋の出入りが出来る位置に自分たちがいるようにします。

何の目的かというと、調査官が余り家の中をうろつかないようにすることと、相続人の方が資料を取りに行ったときに一緒に着いて行かないようにという配慮で、なるべくそのような座席にします。

実際には調査に来る前に私は必ずリハーサルをやります。
その時に税務調査官が午前中どんなことを聞いてどんなものを見ようとしているのか、それから午後に貸金庫のある銀行に出向いたり、或いは自宅の金庫で何を見ようとしたりするのか、予めお話しいたします。
事前に聞かれることを確認して頂いて、二階のタンスの引き出しに入っているものについては居間の仏壇の引き出しとか、或いは何か小物を入れるような棚があったら、もうそこにまとめて入れておいて頂きます。

中にはそのようなリハーサルをやりますと、もう机の上にドンと置いておいてくださる方もいます。
しかし余り露骨に置いてあるのも失礼なので、いつでも出せる場所に置いておいていただくのが一般的です。

自宅に金庫がある場合は、事前に内容物の確認をしていただくことをお勧めします。
私が初めて相続税の税務調査をしたときに、自宅の金庫を開ける開けないの話で揉めたことがありました。
何故揉めたかというと、まさか相続人の方も自宅の金庫の中を見られると思っていなかったのです。
別に見られては困るとは思わないけれど、やはりいきなり税務調査官に見られても嫌だと、ちょっともみ合いになったことがあります。

最終的には事前に確認してみてくださいということになったのですが、それだけで30分くらい押し問答になったので、そういうことは相続税の調査官は必ず自宅の金庫を見るということを前提に予め見ておいてもらえればトラブルは回避できます。

たまにあるのが、昔の記念コインが入っていたり、札束があったりして、結構それは申告漏れしているケースがあります。 ですから一度自分で金庫の中を確認して整理しておいていただくと、当日どうぞと見ていただけますので、事前に確認しておいてもらうと良いと思います。
これは相続税の調査官のマニュアルに書かれていることだと思いますが、亡くなった人の貸金庫は当然クローズされていて、奥様が継続してその貸金庫を利用しているケース、名義を変えて利用しているケースが殆どだと思いますが、相続人の方が貸金庫を持っている場合には大体重要なものを貸金庫に入れていますので、ほぼ間違いなく銀行の貸金庫を一緒に同行して内容物を見に行かれます。

ほぼ間違いなく銀行の貸金庫の中を見ます。
貸金庫を持っているかどうかも税務調査官は予め通帳を見て貸金庫料が引き落としされているかどうかを確認します。

「貸金庫を利用していますか?」
「いえ、利用していません」

と言ったら、「いや、だって貸金庫料落ちているじゃないですか」という話になります。
ですから貸金庫を持っていないとは言えません。

貸金庫も普段何年も開けていないケースがあるので、そうなると「あれ?何を入れたかしら?」という話になり、意外と貸金庫を開けて出てくるのが、記念硬貨や金貨、金の延べ板だとか、そういうものが入っているケースがあります。
現金が500万円1千万円入っているケースもあります。

税務調査当日の午後には必ず銀行に行きますので、予め内容物を確認していただくと、相続人の方も安心して税務職員と同行して行くことが出来ます。
別に、変なものが入っているから出しておけという意味ではなく、いきなり行った場合に誰もいい気持ちはしません。
それも心の準備かもしれませんよね。
貸金庫の中には通常は不動産の権利書が入っているケースが殆どで、それをあえて持ち帰らなくてもそのまま貸金庫の中に入っているものを確認してもらうだけで十分足ります。