相続税の税務調査の受け方_財産債務調書、国外財産調書とは?

「国外財産調書」、「財産債務調書」とは何でしょうか。また、どのような場合に提出する必要があるのかということについて、ご説明いたします。

財産債務調書、国外財産調書について

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最初は、財産債務調書というのが始まったのですが、所謂申告の(我々は所得と言って、一般の方では利益と言った方が分かりやすいと思いますが)収支計算後の利益が2000万円を超えて、尚且つ相続財産が3億円以上ある方については、法律で「財産債務調書」というものを税務署に確定申告と一緒に出さなければいけないことになっています。

この調書を出さずに将来的に相続税の調査或いは取得税の調査で、漏らした財産について申告漏れがあったか発覚したときには、加算税が5%プラスになり、ペナルティになります。
逆に、財産を乗せておき、たまたま相続時に漏らしてしまったというケースの場合には、加算税5%を引いてくれます。

要するに、財産債務調書を提出、本人がご自分の持っている12月末現在の財産を報告すると、税務署側も相続税の調査がしやすいのです。
相続税の申告漏れをなくすために財産債務調書を提出させているわけですから、提出していない人に対し、もし将来的に申告漏れがあればペナルティをつけます。

相続財産が3億円以上あり、しかも2千万円以上利益が出ている方は、将来的に相続税申告をする可能性が非常に高いのです。
そのような方については、「調書を提出してください」、或いは「この年だけは提出しなさい」というように、ペナルティの軽減をしたり、付加したりすることにより、積極的に提出させるようにするというような制度に変更しました。

今、国というのは特に財産のある人をどのように把握して将来的にどう課税するかということに対して非常に力を入れています。
高額資産家対策の一環として、この財産債務調書というのがあります。

以前も、債務ということで同じような書類をつけなければならない時期もありました。
その時には、付けても付けなくてもペナルティは全くありませんでした。
極端な話、預貯金をまとめて3千万円といっても別に構わなかったのです。

以前は、法的な根拠がなく、任意提出の書類でしたが、今はもう、どこどこ銀行の何々預金、そしてどのような保険に入っているかなど、個別に財産を全て記入しなければならないことになりました。
法律に基づいて出さないといけない書類なので、非常に正確に書かないと「マズイ調書」ということになります。

国外財産調書とは、海外に5千万円以上の財産がある場合に提出してくださいといった、法律上決まった書類です。
そして、海外財産について国外財産調書を出す場合には、財産債務調書からその分は差し引き、両方出します。

しかし、今国が一番高額資産家に対して懸念していることが、海外に財産を移転させて相続財産を減らそうというようなことに対しての税務調査をどうやるかということで、やはり海外に預金があったりするのは掴み辛いのです。

ただ、現実問題として、ケイマン諸島など色々海外に財産を送金しては脱税の温床になっているケースもあるので、そのような意味で、国外財産調書制度を使って海外に預金があったり不動産を持ったりしている場合には、5千万円という金額以上ということになります。

しかし、大体資産家になりますと、5千万、1億、平気で海外に持っていますので、そういうものを書いて提出させ、提出していない場合には加算税をペナルティとして付けるという制度になっています。

従って、多少飴と鞭を付けて、生前にきちんと自分の把握している財産を将来的な相続税の調査の資料として提出しなさいということです。
これは税務署のKSKというコンピューターのシステムの中に全部データとして入り込みますから、調査の際にその人が過去に提出した資料を見ながら相続税の調査をする話になります。

相続人が知る知らないは別として、ご本人がどこかで提出していると、「こういう財産がどこかにあったはずです」、「ないなら国内に財産を引き上げたか何か財産を失ったかのデータを出してください」という話に当然なると思います。