税務調査時の通帳や印鑑について

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税務調査の連絡があった場合、調査前に、通帳や印鑑の置き場所を税理士と相続人とで打ち合わせをします。
ご自宅に税務調査官が来られた時は必ず「この家にある印鑑を全て出してください」と言われるからです。

一般的な税務調査ですと、「奥様の通帳を見せて頂きたいのですけれど」と言うと、奥様が1階の仏壇の引き出し又は2階に行きタンスの引き出しから通帳を出してきます。
その時に調査官が奥様の後を着いて行き、「それでは通帳を置いてある場所を全て見せてください」と言って、そのタンスの引き出しの中のものを全て出して確認するのです。
勿論ご本人の了承は得た上です。
すると大体そこには名義預金の通帳や印鑑、認印の5~6本が輪ゴムで留めて置いてあったりします。

税務職員はその中からシャチハタ以外の印鑑について全て印影を取ります。
亡くなった人の実印、銀行印、認め印に使っていたもの、それから奥様の印鑑も全て確認します。
税務職員は、印鑑票みたいなものでいくつか押す欄がある用紙を持って調査に来ます。

まず、その用紙に、印鑑ケースから出した印鑑をそのまま2回くらい押し、その後に朱肉を付けて印影をとる。
直近で使ったことがあると、少し朱肉が残っていますから朱肉を付けなくてもいくらか印影が付くのです。
かなり使っていないものだと全く写りもしない。

例えば名義預金で使う印鑑は滅多に使用しないので、朱肉は殆ど付いていません。
普段から銀行や実印で使っている印鑑は多少なりとも朱肉が付いているため、そのような方法で印鑑の利用度合を調べます。
これはどの税務署の相続税の調査でも必ず行います。
従って、税理士が関わっている場合には、印鑑、通帳は全て居間に出しておくようにアドバイスします。
そのようなことを予め相続人に言っておくと、別にそれがいい悪いといった問題ではなく、余計なものは片付けてもらえますし、出来るだけ1階の見られてもいい所に通帳や印鑑はしまってもらいます。

税務職員は本人の気が付かないうちに、出したくないものを見たいということでしょう。
通常自宅に金庫があれば金庫の中に通帳や印鑑が入っているでしょうし、なければ仏壇の引き出しやタンスの引き出しの中にあるはずなので、そのような所を見たいのです。
そこにその家の苗字ではない印鑑があると、架空名義の印鑑の通帳なのではないか?という様に見る可能性はあります。
それで実際に銀行口座を調べると、銀行内部でもこの架空名義の通帳は誰の預金ということで名寄せされているのです。

名寄せというのは、ペンネームなどの預金があった場合には本人の預金と紐付いて管理されています。
本人の預金だという認識のもとに、銀行内部では、例えば自分がマイケルジャクソンというペンネームを使っている場合(昔はマイケルジャクソンという名義で作れたのです)、このマイケルジャクソン名義口座は実際、西山裕志という方の預金なのです、ということを直ぐに分かるようにしてあります。

従って、税務調査官が銀行に調査に入った時にはすぐに分かります。
それが大物政治家の場合、銀行も「さあ困った」のような話になりますが、銀行はそのようなウソはつかず堂々と税務署に提出してしまいます。
今は流石に架空名義というのはなくなりましたし、無記名債権というのもなくなりましたので、そういった意味では、脱税の温床のような金融資産はなくなってきました。

また、預金通帳の漢字も、現在では極力戸籍や住民票に合わせて作っています。
昔はコンピュータがきちんと作れていなかったときには、旧字が新しい字体になったりしていました。
例えば川崎の崎でも、崎の右上が「大」になっているのもあれば「立」になっているのもあります。
それから一番多いのは田辺さんとか渡辺さんの「ナベ」も、「辺」という字もあれば「邉」もあれば「邊」という字もあるのですね。
今では銀行はもうコンピュータできちっと特殊字も印字してくるようになりました。

被相続人の通帳が紛失または捨てられてしまったなどの理由で預金口座の存在が全く分からなかった場合、相続税の税務調査の際、「実はどこの支店にいくら残っていました」と言われることがありました。
残高が千円未満だとカードで引出して残りは放置し、通帳を捨ててしまう方がいるのです。相続手続きをすると、銀行の方もよく理解しており、都銀だと大抵全支店の残高があるかどうかを確認してくれます。

残高証明を取って相続財産を確認している最中に相続人宛てに、或いは最後に換金作業するときに、いわゆる休眠口座の確認をされたことがありました。
例えば地元で三菱UFJ銀行の武蔵小杉支店で残高証明書を請求すると、「東京の丸の内にも預金がありますよ、一緒に残高証明をとりますか」と言ってくれます。
しかし住所が違っていると同じ銀行でそれが同姓同名の別人のものであるかどうかは銀行も分かりません。